弁護士と税理士のダブルライセンスのメリットとは?

公開日:2023/01/15  最終更新日:2023/01/13

弁護士ですでに税理士の資格を持っている方も少なくありません。いわゆるダブルライセンスの状態であり、将来的に狙っている方もいるでしょう。そこで実際にダブルライセンスになる前に、どのようなメリットが有るのかを把握し、税理士資格を持っている弁護士ができる業務も知っておく必要があるでしょう。今回は、それらを解説します。

ダブルライセンスとは?

ダブルライセンスとは、弁護士と別の資格の2つを保有することを指した言葉です。また、弁護士の中には、別に2つの資格を取得するトリプルライセンスになっているケースも少なくありません。

ちなみに弁護士は、ダブルライセンスになるために、税理士の資格を別個で取得する必要はありません。そもそも、弁護士法には「弁護士は弁理士および税理士の事務ができる」(要約)と記載されているのです。

つまり司法試験に合格し、司法修習を終えれば、税理士会に登録し税理士となれるのです。ちなみに、弁護士としての実務経験が求められることはありません。税理士として活動できる弁護士ですが最低限しなければならないのが、税理士名簿への登録です。

税理士名簿への登録方法

日本税理士会連合会が用意する税理士名簿に、氏名、生年月日、事務所の名称および所在地そのほかの事項を登録します。登録にあたっては必要な書類があり、登録申請書と一緒に提出しなければなりません。開業するケースと、社員税理士になるケースで必要書類が異なるため、事前に確認したうえで余裕を持って準備しましょう。

登録申請書が受理されれば、税理士会の面接および調査が行われ、問題がなければ税理士名簿に登録され、官報に公告されます。登録までの期間は、必要書類を集める期間も加えると3か月から4か月程度です。

登録時には費用もかかり、日本税理士会連合会に登録手数料を、国税として登録免許税を支払う必要があります。登録手数料は5万円であり、登録免許税は6万円です。さらに各地域の税理士会への入会金や年会費も別途必要になります。

入会金は5万円前後が相場であり、年会費は10万円程度かかります。したがって、税理士とのダブルライセンスを保持していくためには、毎年10万円のランニングコストが発生するのです。

税理士資格を持っている弁護士ができる業務とは?

当然、税理士資格を保有できるため税理士の業務ができるようになります。税理士は税務に関する専門家であり、主に租税債務の確定に必要な事務の範囲内で行う社会保険労務士業務や租税に関する訴訟の補佐人、現物出資などにおける財産の価格の証明や会計参与、税務代理や税務書類の作成、税務相談に会計業務などができます。

弁護士と税理士のダブルライセンスを保有することで、さらに業務の範囲は広がります。企業がライセンス契約をすると、契約交渉や契約書の作成・リーガルチェックを弁護士が行います。一方で、ライセンス取得価格や減価償却などの法人税に関する手続きを行うのは税理士です。

通常は弁護士と税理士の2人を雇わなければならないため、企業としては大きな負担になることも少なくありません。したがって、税理士資格を保有する弁護士は、一人で両方の手続きに参加できるわけです。

ほかにも、遺言や相続の問題でもダブルライセンスを持った弁護士は活躍できます。遺言の作成および相談は弁護士が行いますが、相続税の申請代理や納税手続きは弁護士がします。それらはダブルライセンスを保有する弁護士であれば、一人で対応できるのです。

弁護士と税理士のダブルライセンスのメリット

弁護士と税理士のダブルライセンスのメリットを紹介します。

経営コンサルティングが可能になる

企業を相手に仕事をする場合、弁護士のみの資格であると、経営に携わるのは難しいです。しかし、税理士の資格を保有すると確定申告書作成や税務相談なども行えるようになり、経営のコンサルティングもできるようになるのです。

そもそも会社として考えていかなければならないことに節税があります。税理士は税金のスペシャリストであり、さまざまなアドバイスもできます。弁護士の業務とは異なり、経営コンサルティングは日常的に需要があるのも大きな特徴でしょう。

希少性が高い

比較的簡単にダブルライセンスになれるのに、弁護士で税理士資格を保有している人は多くありません。2020年の時点の数字になりますが、日本国内の弁護士の数は4万2,164人です。一方で、弁護士と税理士のダブルライセンスを保有しているのは、685人とごく少数です。

つまりダブルライセンスの弁護士は数が限定されており、ライバルが少ない状況が続いているのです。したがって、ダブルライセンスになるだけで仕事も受けやすくなるでしょう。

ワンストップ対応ができる

前述したように、ダブルライセンスになることで、業務の範囲は圧倒的に広がります。業務の引き継ぎも不要で、自分で一括して対応できるため、依頼人の手間も省けます。ダブルライセンスであれば、いわゆるワンストップサポートができるのです。

まとめ

弁護士と税理士のダブルライセンスについてお伝えしました。ダブルライセンス自体は難しいことではなく、書類を集めて手続きし、そのうえで費用を支払えば弁護士でも税理士資格が保有できます。

ダブルライセンスになることで、業務の幅も広がり、自身の市場価値もアップし、よりよいクライアントとの出会いをもたらしてくれるでしょう。とくに転職を考えている方は、ダブルライセンスを検討してみてはいかがでしょうか。

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