弁護士がインハウスローヤーとして働くメリット・デメリット!
公開日:2023/02/15 最終更新日:2023/01/25
インハウスローヤーの需要は年々高まっているため、インハウスローヤーとして働く弁護士も増加しています。しかし、インハウスローヤーとして働くとさまざまなメリットがある一方、デメリットがあることも忘れてはいけません。そこで今回は、インハウスローヤーとして働くメリット・デメリット、アソシエイトローヤーとの違いを解説します。
そもそも「インハウスローヤー」とは?
インハウスローヤーとは、企業の従業員として雇用される弁護士のことです。企業内弁護士とも呼ばれています。仕事内容は、基本的に法務部門の統括・訴訟対応や経営管理を行っています。具体的には、法律相談、契約書のチェックや審査、コンプライアンス体制の運用、株主総会や取締役会の運営などです。
弁護士がインハウスローヤーとして働くメリット
弁護士がインハウスローヤーとして働くと、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、弁護士がインハウスローヤーとして働くメリットを解説します。
労働時間が安定している
インハウスローヤーは、法律事務所で働くよりも労働時間が安定しているというメリットがあります。法律事務所で仕事をすると、長時間働いたり休日出勤をしたりすることが多く、案件数や時期によっては寝る間を惜しんで仕事しなければなりません。
しかし、インハウスローヤーは企業に所属しているため、定時で退社できるなど就業環境が整備されていることが多いです。就業環境が整備されていることで、無理な残業や休日出勤は少ないでしょう。
収入が安定している
インハウスローヤーは企業に就職しているため、基本給が確保でき収入が安定します。法律事務所であれば、案件を依頼され成功しなければ依頼者から報酬を得ることができません。
しかし、インハウスローヤーは案件数や成功率にかかわらず、毎月決まった一定額の給与を得ることができます。安定した収入が欲しい場合は、法律事務所に所属するよりもインハウスローヤーの方が向いているでしょう。
福利厚生が充実している
インハウスローヤーは、福利厚生が充実していることもメリットのひとつといえます。法律事務所は、一般的に福利厚生が整っていないことが多いです。
しかし、インハウスローヤーは企業の福利厚生サービスを受けられるため、社会保険だけでなくリゾート施設の割引や、有給休暇、退職金制度など、さまざまな恩恵があります。福利厚生の充実は、インハウスローヤーが増えている要因のひとつです。
弁護士がインハウスローヤーとして働くデメリット
弁護士がインハウスローヤーとして働くとさまざまなメリットがある一方で、デメリットもあります。ここでは、弁護士がインハウスローヤーとして働くデメリットを解説します。
法律事務所より収入が少ない
法律事務所の弁護士と比べると、インハウスローヤーは収入が少ないことが多いです。法律事務所の弁護士は、成功した案件が多いほど成功報酬をもらえます。しかし、インハウスローヤーは給与という形で報酬を得るため、毎月一定額の安定した収入はもらえますが、働けば働いた分収入が増えるわけではありません。
将来の独立が困難になる
法律事務所の弁護士は、日々の業務を通じてさまざまな法律事務を経験しますが、インハウスローヤーは特定の企業の企業法務を専任するため、弁護士業務の経験が限定的になります。
そのため、将来独立して弁護士事務所を立ち上げたいと考えていても、弁護士としての経験が乏しいため困難になるでしょう。
弁護士に必要な情報が入手しにくい
大手企業でない限りインハウスローヤーは自分だけということが多いです。そのため、弁護士同士の交流が少なく、弁護士に必要な情報が入手しにくいというデメリットもあります。弁護士業界の最新の情報を、入手できるような関係を構築できる弁護士の存在は重要ですが、インハウスローヤーになると関係が希薄になりやすいです。
インハウスローヤーとアソシエイトローヤーの違い
インハウスローヤーとアソシエイトローヤーにはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、インハウスローヤーとアソシエイトローヤーの違いを解説します。
勤務時間に違いがある
アソシエイトローヤーとは、法律事務所に所属する弁護士のことです。前述しましたが、法律事務所では長時間働いたり、休日出勤をしたりすることが多く勤務時間が長い傾向にあります。
一方でインハウスローヤーは企業に就職しているため、働き方改革の浸透により個人の決められた時間外労働時間をオーバーしないように調整されます。そのため、あまり無理なく働けるでしょう。
業務内容に違いがある
アソシエイトローヤーは、刑事事件や一般民事などの訴訟問題を扱いますが、インハウスローヤーは、勤務している企業の企業法務を扱うことがほとんどです。
インハウスローヤーは、企業を守るために雇用されているので、刑事事件や一般民事に関わることはありません。そのため、一般的にイメージするような弁護士の業務とは違いがあります。
まとめ
インハウスローヤーとは、企業の従業員として雇用される弁護士のことです。弁護士がインハウスローヤーとして働くメリットには、労働時間が安定していること、収入が安定していること、福利厚生が充実していることがあります。
デメリットは、法律事務所より収入が少ないこと、将来の独立が困難になること、弁護士に必要な情報が入手しにくいことです。インハウスローヤーとアソシエイトローヤーの違いは、勤務時間に違いがあることや業務内容に違いがあることが挙げられます。