弁護士は司法書士と何が違う?双方の仕事の特徴を知ろう!
公開日:2023/05/15 最終更新日:2023/02/22
街の法律家として紹介されることが多い弁護士と司法書士ですが、この2つの士業には一体どんな違いがあるでしょうか。2つの士業には重複している職域もあるものの、実は似て非なるものです。今回は弁護士と司法書士の違いに焦点を当てて、詳しく解説を行います。仕事の特徴にも触れますので、ご一読ください。
弁護士の特徴
弁護士とは、社会に存在するあらゆる法的トラブルに対処できる仕事です。法律事務を処理するだけではなく、紛争に対しても対応できます。基本的人権を守り、社会正義を実現することを目指しており、裁判官・検察官とともに「法曹三者」のひとつとして紹介されることもある仕事です。難関試験である司法試験を突破する必要があるため、ハイクラスな仕事としても知られています。弁護士が扱える業務は、主に以下の2つです。
刑事事件分野
弁護士は刑事事件分野においても活躍しています。被疑者の権利を守り、保護し、接見などを重ねながら裁判所に公平な判断をうながすために弁護活動を行うのです。刑事訴訟法状、原則として弁護人になれるのは弁護士のみであり、ほか士業が参入できない重要な業務の分野。被告人になると弁護士がいなければ裁判手続きを進めることができないため、被告人に弁護人が不在の場合には国選弁護人が選出されています。
民事事件分野
離婚や相続、交通事故や債務整理など、刑事事件以外の分野は民事事件分野に分類されています。近年はこうした一般的な民事事件を取り扱うのではなく、企業内の法務に従事する企業内弁護士としての道を選ぶ方も増加しているのです。民事事件では刑事事件とは異なり、裁判や示談だけが解決方法ではありません。調停や協議による調整も弁護士の重要な仕事です。
司法書士の特徴
司法書士とは、法務局への登記関係や簡易裁判に関する書類などを作成し審査を求める仕事です。司法書士は不動産登記や成年後見人などの場面で活躍している方が多く、商業登記に特化している方もいます。司法書士の活躍している場面は、主に以下の2つに分類です。
登記
登記には不動産登記と商業登記があります。不動産の所有や会社の所有などを公示するためには、登記を使います。登記自体は法務局が行っていますが、司法書士は登記申請の代理人として重要な任務を担っているのです。不動産登記・商業登記の分野は司法書士が専門家としてさまざまなシーンで活躍しています。
成年後見人業務
高齢化が進んでいる日本において、成年後見人業務は重要性を増しています。認知症や障がいなどを理由に財産管理などができない方に代わり、裁判所から選任された司法書士が成年後見人としてサポートを行っています。成年後見人には司法書士以外が選任されることもありますが、現在親族以外に成年後見人業務を多くこなしているのは司法書士です。そのため、任意後見などの関連分野にも多く参入しています。
弁護士と司法書士の違い
弁護士と司法書士はそれぞれ法律分野で活躍している士業ですが、2つの業種にはどのような違いがあるでしょうか。こちらで解説していきます。
資格取得方法の違い
司法書士は難関士業の資格のひとつですが、受験資格が設けられておらず、誰でも挑戦できます。法律分野の学部などを卒業していない若年層の合格者もいるほか、サラリーマンから転職を目指して独学で勉強に挑んでいる方もいるのです。合格率は弁護士よりも低く、約3~5%台を推移。
一方の弁護士は、検察官や裁判官などと同様に司法試験を突破する必要があります。一般的には法科大学院入学後に試験を目指す方が多くなっており、司法試験の合格率は30%台を推移。司法試験合格後は司法修習を経て、弁護士を目指すことができます。
業務の違い
弁護士は法律トラブル全般を取り扱うことができます。紛争を取り扱うことができるため、訴訟や示談交渉の場面で活躍することが多いでしょう。たとえば、相続の場面では司法書士は不動産登記や相続人調査、遺産分割協議書の作成などは担うことができますが、相続協議が決裂すると業務が扱えなくなります。
一方で弁護士は紛争を取り扱うことができるため、協議が決裂すると調停や訴訟に対応可能。紛争の解決の有無は弁護士と司法書士を分ける大きなポイントです。司法書士は紛争全般を引き受けられないため、一方当事者の相談を請け負うこともできません。
簡易裁判所業務には司法書士も従事できる
法務大臣の認定を受けた司法書士は簡易裁判所における少額の民事事件(対象価額140万以下)を扱うことができます。そのため、少額の過払い訴訟などでは司法書士が代理人となるケースも少なくありません。
重複している業務もある
簡易裁判所における業務は弁護士と重複することもあるほか、相続財産管理人や成年後見人、家事事件の調停委員など、同じフィールドで活躍することもあります。
この記事では、弁護士と司法書士の違いについて詳しく解説を行いました。弁護士と司法書士は紹介のとおり、重複している業務もありますが、紛争の取り扱いにおいて大きな違いがあります。また、司法書士は登記業務を専門に扱うことが多いですが、弁護士は法律事務に制限がないため、さまざまなシーンで活躍できるのです。両者には大きな違いがあるため、法律分野の士業を目指すなら、じっくりとご検討することをおすすめします。