弁護士の主な就職先とは?それぞれの種類ごとの特徴について解説!
公開日:2023/02/15 最終更新日:2023/01/25
法律業界の最前線で活躍する職種のひとつが、弁護士です。1999年以降で行われている司法制度改革にともなって、弁護士のなり手が増加しました。これから弁護士を目指す人にとって気になるのが「どのような就職先があるのか」ではないでしょうか?今回は弁護士の主な就職先を4つ取り上げて、それぞれの特徴について解説します。
法律事務所
もっともポピュラーで多くの人がイメージしている就職先が、法律事務所ではないでしょうか。とくに司法修習を終えた新任弁護士の多くは、法律事務所へ就職します。
司法試験を突破した直後の知識は豊富でも、実際に業務を遂行するためのスキルやノウハウは得ていません。先輩弁護士がいる法律事務所へ就職して、仕事に必要な技術をひととおり習得するのが一般的です。
法律事務所とひと口にいっても、数十人以上の弁護士が所属している大手の事務所から、ボス弁と呼ばれる経営者が1人で仕事をこなしている個人の事務所まで、その形態はさまざま。
大手の事務所の多くは企業法務案件を中心にあつかっており、弁護士も専門分野に分かれて業務をこなすのが一般的です。そのため、より分野に特化した専門性を磨いていけるでしょう。
一方で個人の事務所の場合は、弁護士1人でさまざまな種類の案件をこなします。事務所によってはジャンルを絞っているところもありますが、幅広い案件に触れられるメリットがあるでしょう。
独立開業
特定の事務所や企業に所属せず、独立して開業する働き方もあります。新人弁護士の多くはまず法律事務所で経験を積み、業務遂行に必要な知識やスキルを得てから独立開業するのが一般的です。
しかし、中には資格取得からすぐに独立開業する人もいるでしょう。先輩弁護士からノウハウを直接学べないのはデメリットですが、型にはまらない仕事のやり方で成功している例もあります。
独立するタイミングは人によって異なりますが、5年~10年ぐらいが多いでしょう。独立する際には開業資金の確保はもちろんのこと、顧客確保に向けた土壌づくりも欠かせません。法律事務所などで働いている間にクライアントと良好な関係を築けていれば、独立後に新しい顧客を紹介してもらえる可能性が高まります。
具体的にどのような案件を取りあつかうのかも検討してみましょう。開業前の法律事務所で培った分野をそのまま継続すると、効果的にキャリアを活用できます。これまでに関わった経験がない分野をあつかってみると、キャリアに幅が生まれます。
またホームページを作ったり、テレビやラジオといたメディアに広告を出したりと、開業後の集客活動も大切です。
企業内弁護士
企業内弁護士は、インハウスローヤーとも呼ばれています。製造業や銀行、総合商社、通信、マスコミ業界など、さまざまな業界の企業内で働く弁護士は少なくありません。
法律相談や契約内容の審査、契約交渉、訴訟、社内コンプライアンスの検討、株主総会、法務監査、スタッフ教育など、業務内容は多岐に渡ります。勤務先によってはM&AやIT、マネジメントなどの知識も求められるでしょう。
企業内弁護士として働く魅力のひとつが、ワークライフバランスの安定です。勤務先の就業規則に基づいて一社員として働くため、基本的には決まった時間内で稼働します。毎日の勤務時間は残業を含めて10時間ほど、土日は完全休みとしているところが多く、ワークライフバランスを大切にできるでしょう。
社会保険や各種の手当、有給休暇なども保障されている点もうれしいポイントです。また仕事の幅が広がるのも、人によっては魅力となります。法律に関連する仕事だけでなく、ビジネスや経営に携わったり、ほかの社員と一緒にプロジェクトに関わったりする機会もあり、組織人としてのキャリアアップが期待できます。
自治体・公的機関で働く弁護士
最後の就職先は自治体・公的機関です。都道府県庁や市役所、町村役場といった公的機関の職員として働く弁護士もいます。多様化する住民ニーズに合わせて、近年採用人数が増えてきました。
具体的な仕事内容は配属先によって異なりますが、条例や規則などの策定、法律相談、行政訴訟や民事訴訟の案件対応、不当要求への対応、児童や障害者を守るための支援などが挙げられます。
公務員として住民の要望に耳を傾け、より暮らしやすい生活づくりに関われるのは、自治体・公的機関で働く弁護士ならではのやりがいでしょう。任期付の職員として働き、任期終了後は行政現場の経験を生かして独立開業する弁護士もいます。
まとめ
弁護士の就職先は、法律事務所だけに留まりません。独立開業や民間企業、公務員など、多種多様な働き方が用意されています。法律の仕事に関わること自体に変わりはありませんが、就職先によって業務の種類や幅、キャリアの積み方などは大きく異なります。
自分がどのような働き方をしたいのか、またどのように弁護士としてのキャリアを積み上げていきたいのかを整理した上で、就職先を検討してみるとよいでしょう。